男装したら数日でバレて、国王陛下に溺愛されています
「私はクロードさまの世界をまったく知りません……そのような者は相応しくありません」

「なにも知らないのなら貪欲に学べ。私がすべて教えてやる」
 

ミシェルに結婚を決めさせるのは容易ではないと思っていたクロードだ。不安も多大なものであることも承知している。

しかしミシェルを手放したくない。


「クロードさま……ありがとうございます。このお話、お受けいたします」
 

もの思わしげだったクロードの口元が緩む。


「愛しています。クロードさまに幸せにしていただきたいです」
 

ミシェルは心の中で葛藤しながら、そう答えていた。この先、困難が降りかかるかもしれない。しかし、愛するクロードを少しでも支えることが出来たら……と、思ったのだ。

満足げに微笑んだクロードはミシェルを抱きしめキスをした。


ふたりが仲睦まじく戻って来たのがわかり、ロドルフは椅子から立ち上がった。ロドルフの顔はまだ困惑したままである。


「クロードさま、おじいちゃんと話をしたいのですが」

「もちろんだ。私は政務があるから先に失礼する」
 

クロードはミシェルの額に唇を落とすと、ロドルフに視線を向ける。





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