男装したら数日でバレて、国王陛下に溺愛されています
「ロドルフ、ゆっくりしていくといい。アベル、お前はここで世話をしてくれ」
 

クロードはロドルフとアベルに声をかけて、ヴァ―ノンと共に去って行った。


「ミシェル、陛下とは……」
 
ロドルフの皺のある顔は孫娘を心配している。


「私、陛下を愛しているの」

「こんな短期間で……」
 

ミシェルがクロードに似たようなことを言った。自分でもそう思っているのだから、祖父もそうだろう。


「まさか、無理強いを……?」
 

声を落としたロドルフだ。そう言ってから控えているアベルを見る。


「おじいちゃん、バカなこと言わないでっ」
 
見当違いのロドルフを安心させるようにミシェルは声を出して笑った。


「クロードさまは私を大事にしてくださっているわ。無理強いされたわけじゃない。私もいつの間にか愛してしまったの」

「……そうか……お前が妃になるとは……」

「大変なのはわかってる。ううん、本当はなにもわかっていないけれど、クロードさまが側にいて下されば頑張れる」
 

ロドルフは男装のままのミシェルを感慨深げに見て、深いため息を漏らす。


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