男装したら数日でバレて、国王陛下に溺愛されています
「私、ミシェルさまとお友達になりたくて来ましたの」

「えっ……私なんかと友達に……?」
 

ミシェルは驚いて空色の目を丸くする。


「私なんかなんて言ったらダメですわ。ミシェルさまはこれからクロードさまのお妃になるのですから」
 

イヴォンヌにやんわり窘められ、ミシェルはさらに困惑してしまう。


(おじいちゃんの話ではイヴォンヌさまは妃の一番の候補だった……イヴォンヌさまもクロードさまに好意を抱いていて……)


「……イヴォンヌさまがお友達になってくれたら、心強いです」
 

ミシェルは素直に思ったことを口にした。


「お妃教育は大変でしょう? 最初に会った時より、疲れたお顔をしていますもの。ミシェルさまのお力になりたいわ」

「ありがとうございます。嬉しいです」

「いいのよ。だって私たちはふたりでクロードさまを支えていかなくてはならないのですから」


(えっ……?)
 

ミシェルは聞き間違えたのかと、イヴォンヌを見た時、彼女はソファから静かに立ち上がった。


「もうお暇しなければ。では、今度はゆっくりお茶の時間を楽しみましょう」

「は、はい……」
 

イヴォンヌは侍女を連れて部屋を出て行った。


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