男装したら数日でバレて、国王陛下に溺愛されています
「今日クレマン夫人に褒めていただいたんです。ちゃんと仕上げられますから」

「わかった。頑張るのもほどほどにしろ。では行こうか。バラもそろそろ見頃が終わる」
 

クロードはミシェルの腰に腕を回した。


「はい!」
 

侍女たちの心無い言葉に傷ついていたが、ミシェルは明るい笑顔をクロードに向けた。

クロードの言った通り、バラはあと少しで終わりのようだ。

ミシェルは寂しく思いながら、たくさんのバラを愛でていく。


『陛下、昨夜は遅かったみたい』
 

ふと侍女たちの会話を思い出し、隣を歩くクロードをチラリ見てしまうミシェルだ。


(イヴォンヌさまとダンスを……?)
 

色々な女性とダンスをするのは夜会では当たり前なこと。わかっていても胸にモヤモヤを抱えてしまう。
 
クロードと踊るイヴォンヌなら貴族たちの目をうっとりさせるだろう。


「どうした?」
 

自分を見ていることがわかったのか、クロードはミシェルに向き直る。

ミシェルがぼんやりしている間にナイフで摘んだのか、クロードの手に一本の真紅のバラがあった。


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