男装したら数日でバレて、国王陛下に溺愛されています
「はいよ! ミシェル、着替えてきなさい。用意しておくから」

「うん。ありがとう。お腹ペコペコよ」

 
マーサは快く承諾し店の奥へ向かい、ミシェルは二階へ行った。

 

ミシェルは急いで着替えを終わらせた。
 
前回びしょ濡れにしてしまったドレスはマーサが洗っておいてくれており、清潔な石鹸の香りに包まれて、ミシェルはクロードの元へ行った。
 
クロードはマーサと話をしていた。

マーサはクロードが国王だと知らずに気軽に笑い、話をしている。


(クロードさまが国王陛下だと知ったら、マーサは卒倒しちゃうかも……)


「ミシェル、早かったね。料理も今持ってきたばかりだよ」
 

木のテーブルの上にはトマトと豆のスープと丸いパンが置かれている。


「マーサ、綺麗に洗ってくれてありがとうございます」

「訳ない事だよ。早くお食べ。クロードも」
 

マーサはミシェルがクロードの対面に座るのを見守ってから口を開いた。


「ミシェル、まだ、その侍従見習いっていうのをやっているのかい?」

「え? う、うん」

「こんなに綺麗な子が女の子だって気づかないなんて、国王さまの目はどうかしているね」
 

マーサの口から国王が出て来て、ミシェルは目をパチクリさせる。


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