男装したら数日でバレて、国王陛下に溺愛されています
「クロード、そう思わないかい?」

「そうだな。国王の目は節穴に違いない」
 

クロードは口元に笑みを浮かべて、マーサの言葉に同意した。楽しそうなクロードにミシェルは安堵して目の前のスープを口にした。


「ふたりが会っているなんて嬉しいね。クロード、ミシェルは本当にいい子だから悲しませないでくれよ」
 

マーサはクロードの肩を叩きそうな雰囲気だ。


「ああ。ミシェルは素敵な子だ。彼女の新しい面を知るたびに好きになる」

「クロードはやっぱりミシェルが好きなんだね!」
 

よかったとばかりに、マーサはクロードの肩をバシッと叩いた。その光景にミシェルの肩が跳ねる。


(絶対にクロードさまが国王さまだって言えない……)
 
 

マーサの店に黒馬を残し、ふたりは町へ繰り出した。王城の中と違う景色にミシェルの胸が躍る。
 
肉屋、魚屋、菓子屋、店頭に立っている店主たちに石畳の通りを歩いているふたりは手招きされる。


「いつにも増して賑やかだな」
 

クロードは浮き立つような町の雰囲気を見ながら言う。


< 222 / 272 >

この作品をシェア

pagetop