男装したら数日でバレて、国王陛下に溺愛されています
ミシェルはクロードのために恥ずかしくないように念入りに支度をした。


「ため息しかでないくらい素敵ですわ」
 

支度を手伝う侍女がうっとりした表情でミシェルを褒める。

彼女は廊下で噂話をしていた侍女ではなく、ミシェルを好意的に見てくれているようだ。
 
サファイアブルーのドレスは艶やかなサテンの生地がふんだんに使われて美しく、クロードからの王妃の髪飾りをシルバーブロンドの緩くアップにした髪につけた。
 
華奢な首元を彩るサファイアのネックレスと、耳元で揺れるイヤリング。
 
鏡に映る自分が美しいとは思えない。どこかあか抜けない感じを受けてしまう。


(最高のドレスと宝飾品なのに……)
 

そこへ扉が叩かれ、クロードが姿を見せた。
 
ミシェルのサファイアブルーのドレスの色に似た胸元を飾るクラヴァットを着て、純白のジュストコールを上に羽織るという姿で颯爽と近づいてくる。


「ミシェル、今お前を連れて行くのを止めようと考えてしまった」

「えっ……? これでは相応しくないのでしょうか……?」
 

動揺するミシェルは自分の姿を見下ろす。


「違う。相応しくないのではない。お前が愛くるしく、美しいから、誰の目にも触れさせたくなくなったんだ」
 

クロードは俯くミシェルの顎に手をかけ、上を向かせる。


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