男装したら数日でバレて、国王陛下に溺愛されています
考え込みながら歩くミシェルは社交界デビューしたばかりのような若い女性にぶつかってしまった。
「きゃっ!」
小さな声を上げ、汚れてしまったドレスに愕然とするミシェル。
ミシェルとさほど年が変わらなそうな女性の持っていた赤ワインがサファイアブルーのドレスのスカート部分にかかり、みるみるうちに吸っていく。
「あら、ごめんなさい」
女性は心から謝っているようには見えないが、ミシェルは動揺していたせいで、「気になさらないでください」としか言えなかった。
アベルがハンカチを差し出そうとした時――。
「そこのあなた! 淑女ならもっと丁寧に謝るべきではないこと?」
強い口調でその女性を叱責するのはイヴォンヌだった。ミシェルは驚いて口を開く。
「イヴォンヌさま、私が悪いのです」
「いいえ。私は見ていましたわ。わざとぶつかったのです」
イヴォンヌはみるみるうちに顔色が悪くなっていく若い女性をきつく見つめる。
「た、大変もうしわけございませんでした。ドレスは弁償を――」
「あなた、なにをおっしゃっているの? このお方は国王のご婚約者よ? 弁償できるドレスではないわ」
イヴォンヌの痛罵に若い女性は目に涙を溜めている。ミシェルは回避できなかった自分も悪いと思っていた。
「きゃっ!」
小さな声を上げ、汚れてしまったドレスに愕然とするミシェル。
ミシェルとさほど年が変わらなそうな女性の持っていた赤ワインがサファイアブルーのドレスのスカート部分にかかり、みるみるうちに吸っていく。
「あら、ごめんなさい」
女性は心から謝っているようには見えないが、ミシェルは動揺していたせいで、「気になさらないでください」としか言えなかった。
アベルがハンカチを差し出そうとした時――。
「そこのあなた! 淑女ならもっと丁寧に謝るべきではないこと?」
強い口調でその女性を叱責するのはイヴォンヌだった。ミシェルは驚いて口を開く。
「イヴォンヌさま、私が悪いのです」
「いいえ。私は見ていましたわ。わざとぶつかったのです」
イヴォンヌはみるみるうちに顔色が悪くなっていく若い女性をきつく見つめる。
「た、大変もうしわけございませんでした。ドレスは弁償を――」
「あなた、なにをおっしゃっているの? このお方は国王のご婚約者よ? 弁償できるドレスではないわ」
イヴォンヌの痛罵に若い女性は目に涙を溜めている。ミシェルは回避できなかった自分も悪いと思っていた。