男装したら数日でバレて、国王陛下に溺愛されています
「っ……、申し訳ありません!」


(どうして気づかなかったの?)


アベルの前で無防備に眠ってしまったことが悔やまれる。そして女だとバレやしなかったか心臓がドクドク大きく脈を打ち始める。


「いいって言っただろう? もう陛下はお休みになられている。それよりもお腹が空いているだろう? 食べなさい」

「はい……」


(どうやらバレていないみたい……)
 
ミシェルはホッと安堵してベッドから降り、テーブルに近づく。
 
ふたりが座れるテーブルにひとり分の料理が用意されていた。


「アベル侍従の分は……?」

「今日はひとりでゆっくり食べなさい。陛下のご命令通りいつもよりたくさんあるから」
 

アベルは優しく言って笑う。


(なんだかお父さん見たい……)
 

五年前に病気で亡くなった父親を思い出したミシェルだ。

アベルは扉に足を進め、ミシェルも近づき見送る。


「あ、そうだ。そうだ。休みを決めておこう。慣れない生活で身体が堪えるだろう。休みを決めておいていたほうがいい」

「ありがとうございます」


ミシェルはにっこり笑う。


「そうだな……」
 

アベルは少し考えたのち、口を開く。


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