男装したら数日でバレて、国王陛下に溺愛されています
「陛下は三日後に出かける。私たちは付き添わないでいいから、やることも限られている。その日に休みなさい。それから五日後も」

自分に休みをくれるアベルはロドルフの言った通り、働きづめでだろう。ミシェルは祖父の言葉を思い出したが、まだ自分ひとりで侍従の仕事は無理だ。
 
ミシェルは頷いた。


「アベル侍従、ありがとうございます」

「ああ。ちゃんと食べて寝なさい」
 
アベルはそう言って部屋を出て行った。
 
扉がきっちり閉まると、ミシェルの顔に笑みが浮かんだ。


「やったー! 三日後に町へ行ける!」
 

その場でクルクルッと回った。だが、足元がふらついてしまい、やり過ぎてしまった自分を笑う。


(まだ身体が戻ってないみたい。たくさん眠ったのに……)

そこで、ミシェルのお腹が不満の音をたてた。


「食べよう! 食べていないからふらついただけよ」
 

ミシェルは椅子に座り、まだ温かい野菜がゴロゴロ入ったシチューから食べ始めた。



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