男装したら数日でバレて、国王陛下に溺愛されています
翌朝、アベルに起こされずとも目を覚まし、支度を済ませたミシェルはよくできたと、ひとり満足していた。
 
身体も休養が取れたようで問題なさそうだ。


「アベル侍従、おはようございます!」

「おや、元気になったようだ。顔色もいい」
 

アベルははつらつとしているミシェルに目元を緩ませる。


「はい! ご心配おかけしました!」

「では行こうか」
 

ミシェルはにっこり笑って、アベルのあとに続いた。

 

クロードはすでに起きており、着替えも済ませていた。

その姿にアベルは不満など言えるはずもないが、お手伝いさせていただくのが私共の役目ですとやんわり言葉にする。


「今日は早くに目を覚ましたのだ。ならばもう少し早く起こしに来るか?」
 

そうなると夜が明けきらないうちになり、アベルとミシェルはほとんど寝ていないことになるだろう。
 
アベルが答えられずにいると、クロードは居間のソファに腰を下ろした。


「ただ今お茶を」
 

腰を低くしてお辞儀をしたアベルはクロードに出すお茶の用意を始めた。その隣でミシェルは早く自分が出来るようになりたくてじっくり見ていた。
 


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