男装したら数日でバレて、国王陛下に溺愛されています
「熱すぎる……」
つらそうな呼吸にクロードの美麗な顔が歪む。
(かなりの時間、川に入っていたのだろう……)
必死に髪飾りを探すミシェルがクロードの脳裏に浮かぶ。
「侍医はまだか!」
早く楽にしてやりたい一心で思わず声を荒げてしまい、ハッとしてミシェルを見る。ミシェルは起きることもなく、苦しそうに眠っていた。
アベルがマティアス侍医を連れてやって来た。長く待った気がするも、それほど経ってはいない。
「陛下、どうなされましたか?」
五〇代後半の侍医は焦った顔で部屋に入って来た。侍医の娘、二十五歳のベアトリスも連れていた。ベアトリスは侍医見習いとして勉強中だ。
「この者が酷い熱を出している。早く診ろ」
「はい! 今すぐに」
侍医はベッドに近づき、診察の道具の入った鞄を開ける。それからミシェルに掛けられている布団を腰の位置まで下げた。
「陛下、この者は侍従見習いとお聞きしましたが……」
侍従は男性でなければなれないと周知の事実だ。侍医の目でミシェルがすぐに女性だとわかったようだ。
つらそうな呼吸にクロードの美麗な顔が歪む。
(かなりの時間、川に入っていたのだろう……)
必死に髪飾りを探すミシェルがクロードの脳裏に浮かぶ。
「侍医はまだか!」
早く楽にしてやりたい一心で思わず声を荒げてしまい、ハッとしてミシェルを見る。ミシェルは起きることもなく、苦しそうに眠っていた。
アベルがマティアス侍医を連れてやって来た。長く待った気がするも、それほど経ってはいない。
「陛下、どうなされましたか?」
五〇代後半の侍医は焦った顔で部屋に入って来た。侍医の娘、二十五歳のベアトリスも連れていた。ベアトリスは侍医見習いとして勉強中だ。
「この者が酷い熱を出している。早く診ろ」
「はい! 今すぐに」
侍医はベッドに近づき、診察の道具の入った鞄を開ける。それからミシェルに掛けられている布団を腰の位置まで下げた。
「陛下、この者は侍従見習いとお聞きしましたが……」
侍従は男性でなければなれないと周知の事実だ。侍医の目でミシェルがすぐに女性だとわかったようだ。