男装したら数日でバレて、国王陛下に溺愛されています
高熱にうなされながらも、ミシェルは胸に巻いたリボンが取られようとしていることに気づき、うつろな目を開けた。
「や、やめて……ください……」
ミシェルは叫びたいのを我慢して、見知らぬ女性の手を払おうとする。
「安心してください。私は城の侍医見習いです」
「で、でもダメ、なんです!」
女だとバレるわけにはいかない。
朦朧としながら身体を起こしたミシェルは侍医見習いベアトリスの手をギュッと掴む。
そこですぐ後ろに男性がいることに気づく。
「私は侍医のマティアスといいます。これは私の娘ベアトリス。大丈夫ですよ。あなたが女性だということは秘密にしておきます」
ミシェルは衝撃を受けたように目を大きくさせた。
「そのリボンは取らないといけません。酷い熱なので身体を拭いて着替えましょう。その前にこれを飲んでください」
侍医はテキパキと指示するも、ミシェルは凍りついたままだ。そんなミシェルに侍医は続ける。
差しだされた粉薬をミシェルは当惑しながら水で流し込む。