今夜、シンデレラを奪いに
黙って話を聞いていると何を勘違いしたのか「退屈な話ですよね。眠いですか?」と聞かれる。


「そんなわけないでしょ!真嶋が自分のこと話してくれて、今すごく嬉しいんだから。」


真嶋は少しの間口をつぐんだ。笑顔に見えたけど、何かを諦めたような曖昧な表情をしている。


「話を続けると、今はオーク当主が世代交代したばかりで特に財閥全体が不安定なんです。

旧当主に認められることで財閥の実権を握ろうとしていた陣営は、新当主への鬱憤が溜まっています。今回の首謀者もその一人ですね。

親族間のでのただの争いなら勝手にやればいいと思いますが、会社や従業員を巻き込むので厄介です。

それをまとめて片付けるのが俺の仕事というわけで」



「でもまだ、やっぱり真嶋が一人で勝手にいなくなった理由がわからない。

ややこしい事情があるのはわかったし、秘密警察みたいに不祥事を調べなきゃいけないのもわかる。

私、手伝うよ?すぐには役に立てないかもしれないけど、捜査のことも勉強するし。」
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