今夜、シンデレラを奪いに
しかし、私の固い覚悟の腰を折るように、真嶋くんは淀みなく説明を始めた。


「企画営業課は、海外の有名ベンダーからまだ世に知られていない会社まで、協業していける企業を見つけることがミッションです。」


「そうね……」


「営業として重要なのはパートナー企業と友好な関係を築くこと。理念としては共栄、共存です。

当社だけでなく日本のIT産業全体の競争力を高め海外に対抗すべく、」


「もういい、もういい!」


私は自分の仕事で手一杯で、日本のITについて考える余裕はない。

真嶋くんの固い説明を簡単にまとめると、いい感じのソフトウェアを作ってる会社を見つけて、ウチの会社で取り扱えるように代理店契約をしている。


「俺が疑問なのは、何故、矢野さんのパートナーとなる技術者が不在なのかということです。」


「少し前まではいたんだけど、急な異動でね」


真嶋くんの言うとおり、企画営業課では基本的には営業とコンサルタントと呼ばれる技術者がチームを組んで行動している。

でも今は技術者が全然足りてなくて、私と一緒に仕事をしてくれるコンサルタントはいないのだ。
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