今夜、シンデレラを奪いに
「サポート!?

いや、良いから…………だいたい今日のどこがサポートだったのよ!あれは茶々を入れている以外の何物でもないでしょうが!」


「先程は歴戦の戦士のような勇ましい表情だったので、緊張を解いて差し上げました。俺がいなければ打ち解けることも無かったと思いますが。」


ああそうですか。


きれいな着物を着ていたというのに、真嶋には私が歴戦の戦士に見えていたのか………。脱力しかけた気持ちを、ぐいっとビールを飲んで流し込む。


その後は「スナックラーメンもんじゃ」というかなりキワモノなもんじゃ焼きを追加して、真嶋が焼いたら思った通り派手に失敗していた。

簡単そうに見えて意外とコツが要るのがもんじゃ焼きだ。どうにか直して焼いて食べたらあっという間にお腹いっぱいになった。



「やばい、スカートのウエストが苦しい……」


「昨日の痩身マッサージの効果は霧散したようですね。」


小馬鹿にした態度だけど、それでも別れる前にはきちんとお礼を言ってくる。



「今日はご馳走さまでした」


「こちらこそ。昨日からずっと……ありがとう。

これじゃお礼としては全然釣り合わないってわかってるけど」


「いえ、おかげで得難い経験をしました。

ありがとうございます、トウコ」


「!」


思ってもみないタイミングで下の名前を呼ばれて言葉に詰まる。忘れていたけど、今日のお礼はその呼び名だと言っていたっけ。


しばらくの間一人で立ちつくし、「来週から仕事やりづらくなるじゃない」と誤魔化すように呟いた。
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