今夜、シンデレラを奪いに
コンサルタントの斉藤さんを連れて打ち合わせをすると、思っていた通り斉藤さんは前のめりに食い付いた。
「これ良いなぁ……。ニッチだけど今後ニーズは増えそうですよね。」
「この通り小さな会社ですから、御社のような大企業には相手にしてもらえないかと思っていました。話を聞いてくださり有りがたいです。」
トパーズロジスティクスの池園さんが恐縮したように頭を下げるので、慌てて止める。
「とんでもない!こちらこそ良いお話を紹介して頂きありがとうございます。」
そう言っても池園さんの態度はかしこまったままだ。こういうお客様の緊張を解くのも私の役割だ。
「ご遠慮は無用ですよ。一緒にがっぽり儲けましょう!」
親指と人差し指を丸くして下品な商売人のようにお金サインを作り、にやーっと笑う。
斉藤さんは期待通りに「言い方がゲスい」と突っ込みを入れてくれて、池園さんは笑い、……同席している真嶋からは馬鹿にしきった白い視線を飛ばされた。
「んっふっふ。企画書どうしようっかなー」
「笑い方が気持ち悪いです。」
先日の打ち合わせから一週間が経ち、トントン拍子に契約の話が進んでいる。あとは企画書を提出するだけだ。
ずっと契約が取れなかったフラストレーションから解放されて、毎日会社に来るのが楽しくて仕方ない。
「久しぶりの充実っ。この忙しさ!今日は景気付けに一杯いっとく?
………って真嶋はどうしてそんなに無感動なのよ。このっ今時の若者めっ!」
「俺を若者扱いするほど歳変わらないでしょう。
もっとも、矢野さんの感性は昭和のサラリーマンにしか見えませんが。」
今日もやっぱりオッサン扱いをされる。
契約が進もうとしているのに至ってドライな真嶋だけど、あのセミナーの日以来ほんの少しの違和感が続いている。
仕事をミスするわけでもない、態度が変わるわけでもない。でも………少しだけ上の空のような感じ。
「サポート契約と合わせて仕入値も決めていかないとね。」
「契約自体は部長の管轄ですよね?」
「まぁそうなんだけど。でもプランニングまでがこっちの仕事だよ。仕切りは5割が標準ね」
「これ良いなぁ……。ニッチだけど今後ニーズは増えそうですよね。」
「この通り小さな会社ですから、御社のような大企業には相手にしてもらえないかと思っていました。話を聞いてくださり有りがたいです。」
トパーズロジスティクスの池園さんが恐縮したように頭を下げるので、慌てて止める。
「とんでもない!こちらこそ良いお話を紹介して頂きありがとうございます。」
そう言っても池園さんの態度はかしこまったままだ。こういうお客様の緊張を解くのも私の役割だ。
「ご遠慮は無用ですよ。一緒にがっぽり儲けましょう!」
親指と人差し指を丸くして下品な商売人のようにお金サインを作り、にやーっと笑う。
斉藤さんは期待通りに「言い方がゲスい」と突っ込みを入れてくれて、池園さんは笑い、……同席している真嶋からは馬鹿にしきった白い視線を飛ばされた。
「んっふっふ。企画書どうしようっかなー」
「笑い方が気持ち悪いです。」
先日の打ち合わせから一週間が経ち、トントン拍子に契約の話が進んでいる。あとは企画書を提出するだけだ。
ずっと契約が取れなかったフラストレーションから解放されて、毎日会社に来るのが楽しくて仕方ない。
「久しぶりの充実っ。この忙しさ!今日は景気付けに一杯いっとく?
………って真嶋はどうしてそんなに無感動なのよ。このっ今時の若者めっ!」
「俺を若者扱いするほど歳変わらないでしょう。
もっとも、矢野さんの感性は昭和のサラリーマンにしか見えませんが。」
今日もやっぱりオッサン扱いをされる。
契約が進もうとしているのに至ってドライな真嶋だけど、あのセミナーの日以来ほんの少しの違和感が続いている。
仕事をミスするわけでもない、態度が変わるわけでもない。でも………少しだけ上の空のような感じ。
「サポート契約と合わせて仕入値も決めていかないとね。」
「契約自体は部長の管轄ですよね?」
「まぁそうなんだけど。でもプランニングまでがこっちの仕事だよ。仕切りは5割が標準ね」