morning moonー朝の月ー
 男性の声が聞こえて、目の前に手が差し出された。

「はい、大丈夫です」

 その手に掴まって立ち上がろうとした瞬間、右足首に痛みが入った。

「痛い!」

 立ち上がることもできずに、再び地面に逆戻りしてしまった。

「足を捻ったみたいですね」

 支えてもらいながら、立ち上がった。

「私に掴まってください。近くに取引先の会社がありますので、そこで救急箱を借りましょう」 


 歩いて2、3分もしないうちにその会社についた。

「あら、どうしたんですか?」

 受付にいた女性があわてて出てきた。

「彼女にぶつかってしまって、どうやら足を怪我させてしまったみたいなんだ」

「まあ、それは大変。そちらの方?」

「そう」

「じゃあ、中に入ってもらったほうがよさそうね」



 会議室に案内された。

 手当ては数分で終わった。

「どうでしたか?」

「少し腫れているので、おそらく捻挫かなんかでしょうけど。病院に行ったほうがいいかもね」

「いえ、手当てしていただいたんで大丈夫だと思います。ありがとうございました」

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