morning moonー朝の月ー
「いいえ」

「あっ悪いけど、タクシーを呼んでもらっていいかな?彼女を家まで送り届けたいんだ。心配だし・・・」

「気を使わないで下さい」

 グゥー。

「「あっ」」

 思わず、二人で顔を見合わせてしまった。

「その前に食事だね」

「そうですね」



 外に出た。

 手当てのお蔭か、痛みが少し和らいでいた。

「今、出張で来ていて、この近くのホテルに泊まっているんだけれど、そこのレストランにしよう」

 こちらの歩くスピードに合わせてくれている。

 きっと優しい人なのだろう。



 ホテルに着いてレストランへと入った。

 注文を済ませて、改めて顔を合わせる。


「お互いに名乗っていなかったね。私は亀岡直人です」

「亀岡、直人・・・?」

 ま、まさかまさか。

 そんなことが、あるわけはない。

 きっと、同姓同名だ。
< 3 / 6 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop