優しい音を奏でて…
「奏、何食べたい?
就職&引っ越し祝いにおごってやるよ。」
「えぇ!?
いいよ。
私、1年前まではちゃんと働いてたから、
それなりに蓄えはあるんだよ。」
「いいの!
俺が奢りたいんだから。
和洋中、何でもいいよ。」
ゆうくん、やっぱり変。
「じゃあ、お蕎麦。
引っ越し蕎麦、食べてないから、付き合って。」
「そんなので、いいの?」
「うん。」
「じゃあ、おいしいとこあるから、車で行こ?
歩ける距離じゃないから。」
そう言うと、ゆうくんは、私の手を引いて歩き出した。
手っ!!
「ちょっ、ちょっと待って。
鍵!!」
私は、慌てて繋がれた手を振りほどいて、戸締まりをする。
私が鍵をバッグにしまうと、やはりゆうくんは、私と手を繋いでエレベーターに向かうのだった。
何なの!? この展開!?