優しい音を奏でて…
「何、勝手に断ってんのよ!」
私が抗議すると、
「いいじゃん。
おふくろとは、また今度行けば。
ってか、何で俺が知らない奏の連絡先を
あの人が知ってるわけ!?」
「第2の母だから?」
むくれる ゆうくんが、かわいくて仕方ない。
思わず、顔が笑ってしまう。
すると、私の携帯が短く鳴った。
通信アプリにメッセージが届いている。
『奏ちゃん、ごめんね〜。
優音にいじめられたら、すぐに言ってね。
私がお説教してあげるから(*´艸`*)ァハ♪
また今度、優音に内緒で行こうね♡』
「ぷっ!
葵ちゃんらしい〜。」
すると、ゆうくんが私の携帯を取り上げた。
メッセージを見て、なぜか私を睨む。
「はぁぁぁぁ…。
俺が奏をいじめた事なんて、一度もない
だろ…」
そして、素早く私の携帯を操作して、自分の携帯を鳴らす。
「あぁっ!!
何やってんの!?」
「奏の連絡先ゲット♡」
ゆうくんは、いたずらっ子のような顔をして、とても満足気だ。
「ンもうっ!
そんな事しなくても、聞けばちゃんと教えて
あげるのに。」
「じゃ、晩飯行こ?」