優しい音を奏でて…
食後、まだ食べてる私を眺めながら、ゆうくんが言った。
「奏、明日と明後日もピアノ弾くんだろ?」
「何で知ってるの?」
「店の入り口にピアニストのスケジュールが
あった。」
ああ、案内のチラシについてるヤツかぁ。
「24日、演奏の後、少し飲めない?」
「23時過ぎになるよ? 次の日仕事だけど、
大丈夫?」
「俺は大丈夫だけど、奏は?」
「私は平気。
始業時刻が9時半からだから、9時過ぎに家を
出ても間に合うもん。」
「じゃあ、そうしよ?」
「うん。」
「じゃ、今日は、ごちそう様。
奏、ありがと。」
20時過ぎ、ゆうくんは爽やかに帰っていった。