優しい音を奏でて…
ソファから下りて膝をついたゆうくんが、私を抱きしめてくれた。
「俺は裏切らないし、奏以外、絶対に好きに
ならない。
俺の心の中には、ずっと奏がいたし、奏しか
いなかった。
それは、この先も何があっても絶対に変わら
ない。
だから、奏も俺を信じて。」
ゆうくんの腕の中で、私は胸がいっぱいになり、そのままゆうくんにしがみついて泣いた。
ゆうくんは、何も言わずに私を抱きしめて、時折、頭を撫でてくれた。
私は、少し落ち着くと、更に続けた。
「私ね、バレンタインに失恋するの、2回目
だったの。」