優しい音を奏でて…

私たちは、スーパーで買い物をして、ゆうくんの部屋で昼食にサンドイッチを作る。

私がフライパンにバターを溶かしてパンを焼き、ゆうくんが焼きあがったパンに具材を挟んでいく。

「おいしい!」

「ふふっ。」

パクパクおいしそうに食べるゆうくんが子供みたいでかわいい。

「何?」

ゆうくんが怪訝そうな顔で見るが、

「何でもない。」

とごまかす。

何気ない全ての事が幸せだなぁと感じる。



食後にゆうくんがお茶を入れてくれた。

ゆうくんがコーヒーで私がミルクティー。

ソファに並んで座って、まったりとくつろぎながら飲む。

すると、コーヒーを飲み終わったゆうくんが、私の手からティーカップを取り上げて、ローテーブルに置いた。

「ん? 何?」

と言い終わらないうちにみるみるゆうくんが近づいてきて、唇に温もりが落とされた。

優しいその温もりは、コーヒーの香りがした。

「奏、いい?
もう限界。奏が欲しい。」

ゆうくんが耳元で囁く。

「えっ!?
でも、まだ昼間…。」

「ダメ。
夜まで待てない。」

ゆうくんは、私の返事を待たず、私の膝裏に腕を入れて抱き上げた。

私はお姫様だっこで寝室へと運ばれ、ベッドにそっと横たえられた。

ゆうくんに上から覗き込まれ、恥ずかしくて思わず顔を背けると、ゆうくんの手で元に戻され、再びキスが落とされた。

「大切に抱くから。」

そう囁くと、ゆうくんは私の体中に優しいキスの雨を降らせた。

そして、日が暮れるまで、彼の深くて熱い想いを全身で受け止めた。

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