優しい音を奏でて…
「ヒロ…」
彼の想いは、表情からもよく伝わって来た。
でも…。
「ごめん…。
ヒロの事情は分かったし、ヒロの気持ちも
伝わった。
でも、私の中では、もう終わった事なの。
今は、もう考えられない。」
「終わったなら、もう一度始めよう。
俺の中では、終わってないんだ。」
「無理だよ。
ごめん…」
「カナ…」
ヒロの顔が悲壮感に歪んでいく。
「ごめん。
この後、予定があるから、もう行くね。」
私は、1000円札を置いて、店を出た。
今日は、金曜日。
ステージに影響が出ないように心を落ち着けないと…