優しい音を奏でて…
・:*:・:・:・:*:・

20時。

いつもの席にゆうくん……と、その隣のテーブルにヒロ!!

なんで!?

軽くパニックになる。


どうする?

どうしよう?


でも、出番だ。

深呼吸して、ピアノの前に座る。

平常心。

いつもより、心を落ち着けて演奏を心掛ける。


曲目も前回とは大きく変えた。

クリスマスソングは封印して、和の曲を織り交ぜる。

惰性では弾けない。



緊張の中、1時間のステージを終えた。

今日は中休みにゆうくんの所へは行けないから、メッセージだけ送る。

『ごめん。
休憩時間にはそっちに行けそうにないの。
全部終わるまで待ってて。』



22時。

ヒロは、まだいた。

お酒は弱いはずなのに…。



緊張のステージ再び。

ラストはいつもゆうくんに向けて弾いていたが、今日はヒロに向けて演奏する。

ショパン『別れの曲』


心を込めて、さよならの気持ちを乗せて…。


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