初恋Tear drops
タイトル未編集
夢ならばどんなによかっただろう。たった4ヶ月の付き合いでこんなに彼のことを好きになるなんて考えられなかった。別れたあとの後味の悪さをよく覚えている。今でも彼が持っているかは分からないあの青いリングノート。2人の思い出を綴ったノートをよく思い出すのだ。撮ってみたくて撮った彼氏との初めてのプリクラは恥ずかしくて直視できないままチェストの中で眠っている。家族旅行のお土産だと言ってくれた韓国のお土産のブレスレットとミサンガも封を切らずにジュエリーボックスの中で眠っている。修学旅行でお互いに買ったお揃いのお土産とか。全部チェストの中に入ったまんま。関係を終わらせて彼を傷つけたのは自分なのに勝手に未練を持ったままで心底自分が嫌になる。『やっぱり一緒の高校に行きたいじゃん。だから勉強、頑張るね』とか。高校受験を手前にした夏休みにそうやって会話したことも鮮明に覚えてるんだ。君はもう忘れてしまったかもしれないけど。家で一緒に課題をやっつけたり、浴衣は着なかったけどお洒落をして夏祭りにも行ったり。地元の祭りでは同級生に冷やかされたり羨ましがられたり、後輩には『いいですね〜先輩、青春ですね!』って見られたり。恥ずかしいけど嬉しいみたいな複雑な心境だったのは君も同じだったのかな。ちょっと遠出をして行った夏祭りではゆっくり屋台を見て疲れたら少し休憩して。花火見ようねって約束してたから橋の上で見ようって準備したよね。でも急に大雨が降ってきて正直普通に焦ってた。花火がよく見えて雨宿りできる建物の下で雨の中打ち上げられる火の花を見ていた。あんまり帰りたくないって思っていたのに楽しいって思う時間は案外すぐに過ぎてしまった。帰りは父の車で彼を送り届けてから無言で帰宅。指が触れるか触れないかのギリギリのところで勇気が出なくて手を握れなかったり。ミラー越しの父の視線とかも相まって余計にそんなことできなかった。恥ずかしかったからね。中学3年生だったし家が厳しかったからスマホとかその類いの端末は持っていなくて口頭でしか約束とか出来なかったので夏休み中に青いリングノートを買って交換ノートをすることにしたの。『交換ノートしない?』って小学生かよって自分でツッコんで我ながら勇気出したなと思う。君はちょっと驚いてたけど『いいよ。やろ!』ってすぐに乗ってくれた。地区は離れていたから自転車で帰る君を近くの公園まで見送って背伸びをして履いたヒールのまま暗い道を辿るように帰った。
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