ダドリー夫妻の朝と夜
* 後日譚 ~ ダドリー夫妻のお気に入り ~
アーサー・ヴィンセント・ダドリーは、妻の声に振り返った。
「おはようございます、アーサー様」
「おはよう」
慎ましくほほえむ妻エミリアは、今朝も美しかった。
青葉のように生き生きと輝く明るい緑色の瞳、若い梢のように天に向かって伸びる睫毛、花開くように内側から赤く色づく頬、朝日のように清廉な白い肌。まさに彼女は、春そのものだ。
エミリアには、アーサーにとって最も縁遠いはずの叙情をもたらし、詩人の真似事をさせてしまう無二の力を持つ。
彼女は、アーサーを変質させる魔女か、はたまた女神か。
今朝も朝から取り留めのない考えに惑わされ、無言を貫いたアーサーを、彼女は従順に待っていた。
「席へ」
彼が若葉色の瞳を見返すと、彼女はパッと視線を逸らしたように感じた。
「ありがとうございます、アーサー様」
小さく礼を返したエミリアが静々と自分の席へ歩いていくと、その後をうなじで留めたストロベリー・ブロンドが追うように柔らかく舞い上がった。その様子に変わったことはないように見える。
「おはようございます、アーサー様」
「おはよう」
慎ましくほほえむ妻エミリアは、今朝も美しかった。
青葉のように生き生きと輝く明るい緑色の瞳、若い梢のように天に向かって伸びる睫毛、花開くように内側から赤く色づく頬、朝日のように清廉な白い肌。まさに彼女は、春そのものだ。
エミリアには、アーサーにとって最も縁遠いはずの叙情をもたらし、詩人の真似事をさせてしまう無二の力を持つ。
彼女は、アーサーを変質させる魔女か、はたまた女神か。
今朝も朝から取り留めのない考えに惑わされ、無言を貫いたアーサーを、彼女は従順に待っていた。
「席へ」
彼が若葉色の瞳を見返すと、彼女はパッと視線を逸らしたように感じた。
「ありがとうございます、アーサー様」
小さく礼を返したエミリアが静々と自分の席へ歩いていくと、その後をうなじで留めたストロベリー・ブロンドが追うように柔らかく舞い上がった。その様子に変わったことはないように見える。