ダドリー夫妻の朝と夜
「エミリア、本当にどこも悪くないのだね?」
「ええ、アーサー様」
「わたしに合わせて、早くに朝食を摂ることはないのだよ」
「いいえ、アーサー様。無理などしていませんわ」
「それならせめて、もう少し楽な格好をしてくれば良い。この家には、わたししかいないのだから、髪など結わなくても構わない」
「そんな見苦しいもの、アーサー様にお見せするわけにはまいりませんわ」
「構わないと言った」
「……はい、アーサー様」
翌日からエミリアは、下ろし髪のままアーサーの前に現れるようになった。
眼鏡をしないアーサーには、妻の瞳が今朝はどんな葉の色をしているのかわからない。
けれど、彼女の歩く後には、今朝もストロベリー・ブロンドが春を祝福するように、ふわふわと舞っている。
* * *
「ええ、アーサー様」
「わたしに合わせて、早くに朝食を摂ることはないのだよ」
「いいえ、アーサー様。無理などしていませんわ」
「それならせめて、もう少し楽な格好をしてくれば良い。この家には、わたししかいないのだから、髪など結わなくても構わない」
「そんな見苦しいもの、アーサー様にお見せするわけにはまいりませんわ」
「構わないと言った」
「……はい、アーサー様」
翌日からエミリアは、下ろし髪のままアーサーの前に現れるようになった。
眼鏡をしないアーサーには、妻の瞳が今朝はどんな葉の色をしているのかわからない。
けれど、彼女の歩く後には、今朝もストロベリー・ブロンドが春を祝福するように、ふわふわと舞っている。
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