特別な夜
あたりは夜の闇に飲まれた。

僕は目の前に手を伸ばす。

最初はなにもなかったが、暗闇を探(さぐ)っていくと、ハリのあるなにかに触れた。

反射的(はんしゃてき)に手を引いたが、また『なにか』があった場所に手を伸ばす。

また触れた。

多分これは彼女の胸だ。

僕はそれを優しく揉(も)んでみる。

服の上からでも弾力を感じられる。

今度は少し力をいれて……

「んっ!」

彼女の声。

「ご、ごめん!」

僕は、姿は見えないが彼女がいる方向を向いて謝った。

「大丈夫。もっと強くしても……いいよ」

僕はその言葉通りには出来(でき)ず、さっきよりはちょっと力を抜いてしまった。
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