ライアー

きっぱり片想いを諦める良い機会だと思ったんだけど、家に着いた途端に送られた「大丈夫か?」のメールに再びやられた。


「だいぶ不味そうな顔してんな笑 顔に似合わず甘いのしか飲めねーのまじウケるわ。」

呆れた顔しながら言われた。


「悪かったわね。イメージ通りでなくて。」
受けたショックを隠すように、から笑いする。
何気ない言葉に傷つくのは何度目だろう。


「ていうか、お前。東さんだっけ?
よく知りもしない相手と結婚なんてよく考えられるよな。相手からしたらかなりドン引きなことだと思うけど。」



「知らなくないわよ。髪色変えただけですぐに気づいてくれるし、定員オーバーになったエレベーターは自分から降りてくれるとっても優しい人なの。」




「そういうのが薄っぺらいんだって言ってんだ。
深い付き合いの仲からそういうのは芽生えてくんじゃねーの?そーゆのは。
どうせそういう奴と付き合ったとしてもすぐに別れる。」



偉そうに説教してくるけど、仮に侑の言っていることが本当なら私の相手は侑ってことになるけど。


「随分偉そうにいうわね。そういうあんたはどうなのよ。」


ドキドキしながら質問したけど、
長いため息とともに、呆気なく返された。

「無理。
結婚もしたくない、子供もいらない。
俺は、そういうのを求めてこない後腐れないやつとしか付き合いたくない。」


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