見つめていたい
「ひャッ!!・・・」
柚木くんの顔を見た瞬間、呼吸が止まってしまった。
何故ならそこにいたのは、3年間片想いをしていた人
渡部一真くんだったのだ。
私は憧れの渡部くんを前に、急に顔が熱くなり、下を向いてしまった。
柚木くんが渡部くんで、渡部くんが柚木くんで!??
???
双子?
・・・
突然の彼の出現に気が動転してしまっていた。
そしてまた、貧血に襲われて倒れそうに!
「愛原さん!!!」
「愛原!!」
すかさず柚木くんが私の身体を支えてくれた。
「だ、大丈夫…少し休めば治るから…」
「あたし、保健室の先生のところに行ってくる!柚木くん、愛原さんをお願い!」
「…片平さん ? 私…大丈夫だから…」
立ち上がろうとすると、私の頭の上のほうから囁きが聞こえる
「素直になれよ」
柚木くん…
すると彼は突然かがみ込んだ
「乗れよ」
……素直にって、渡部くんに言われた
柚木くんじゃなくて、渡部くんに乗れよって…
素直に…
気がついたら、自然に柚木くんの背中に乗っていた。
柚木くんの背中、違う…
渡部くんの背中に私が乗っている。
彼の腕に支えられて、胸が熱くなるくらいの渡部くんの温かい背中に顔をうずめて…
すぐ前には茶色の髪、うっすらとシャンプーのいい匂いがする。
まるで夢を見ているよう