見つめていたい
柚木くんにおんぶをされながら、木々でできたトンネルのところまで来た。
小鳥の可愛いさえずりに紛れて、柚木くんに問いかけてみよう
「…あの!」
「うん?」
「柚木くんの中学校って?」
「西中学校…」
「…え?…」
違う…
「ここに来る前は……昔は鷹松…」
!!!やっぱり!!!
「あの!それじゃ、やっぱり渡部くん?」
「ああ、前は渡部、今は柚木…家庭の事情で名前が変わったんだ」
渡部くん!やっぱり渡部くんだ!
「愛原!?…苦しい…首が…」
興奮のあまり柚木くんのことを両腕で締め付けてしまった。
「ご、ごめんなさい…も、もう大丈夫だよ…ひとりで歩けるし…」
「…嫌ならおろす…」
「いっ…嫌じゃないよ…けど、私、重たくない?」
「空気みたいに軽い」
「空気って?…ぷッ、なにそれ!?おかしい」
「マジ軽い、それに、む…」
「?…」
何を言いかけたの?
不思議、柚木くにおんぶされていると、普通にお喋りができる。
さっきまであんなに緊張していたのに…