見つめていたい
優しい…柚木くんて優しい、思ってたとおりの人…
よかった…まだ繋がっている。
理由なんてなんでもいい、とにかく柚木くんと関わっていたい、ずっと、それがたとえどんなことであっても。
「愛原さん!… 歩けるの?」
保健室から戻った片平さんが走り寄ってきた。
「うん、大丈夫、でも、また柚木くんに迷惑かけちゃった…」
「よかったね!」
「うん、ありがと」
片平さんがじっと私を見つめている、?…
「…いいなあ愛原さんは、柚木くんに2回も助けられて、あたしもしてもらいたい…」
「え!?」
……
「あッ…男子がくる、早くいこッ」
!ガヤガヤ!
「おはよ!カズマ」
「おはよ」
靴入れを隔てて、男子達の話し声が聞こえる。
「あの後、学年中、おまえ達の噂で持ちきりだったの知らないよな?」
「俺たち?…何の事だよ」
「決まってんじゃん、お姫様だっこ!」
「あ…あれは…仕方ないだろ、あの状況じゃ、あーするしかなかった…悪いか?」
「な、何ムキになってんだよ、王子様に抱かれたお姫様?…あのふたりもしかして付き合ってんじゃ?って、…特に女子がギャーギャー騒いでさ…すごかったんだ、なぁカズマ教えろよ、あの子、彼女?」
「馬鹿か?、なわけねー、彼女なんかいるわけねーし…」
「え? マジかよ…」
「りゅう、もし、隣の子が倒れそうになったら、おまえならどうした?」
「そりゃ、…可愛い子だったら助けるんじゃね?」
「おまえ、最悪…顔で判断すんのかよ、人として失格だな、もう行くわ…」
「そこまで言うことないだろ、おい!待てよ!カズマ!」
ようやく男子達の気配が消えた。