見つめていたい


放課後

「ねえ、胡桃?」

教科書をリュックにしまっていると、隣の朱音が私の肩を ぽん、て叩いた。

「うん?」

「今日ね、恵美達と町に行くの、一緒に行こうよ」

「…行きたいけど…私、帰りの電車が…」

「少しだけならいいでしょ?たまにはさ!」

「でも…」

「ねッ!胡桃がいないとつまんないし…」

ちょっとイジケそうな朱音を見たら、しょうがないか、いろいろと助けてもらってるし、テストもないし、少しだけなら…うん

「いいよ」

「そうこなくちゃ…無茶言ってごめんね」

「ううん、大丈夫」

軽い気持ちでみんなとバスに乗った。


「1組女子フルメンバーじゃん、よしよし、面子は揃ったわね、じゃあしゅっぱーつ!」

恵美が上機嫌で騒いでいる、1組の女子の中でもリーダー的な存在で、活発な明るい子だ。

オマセの紗穂、それに、中でもいちばん可愛い、妹的存在の美沙ちゃん、そして朱音に私の5人

クラスの中は私達以外全て男子、だから自然に女子だけが固まって、いつも一緒に行動しているっていう訳なのです。

「おいおい、それは運転手さんが決める事でしょうが、まったく恵美ったら」

朱音がツッコミをいれる、朱音と恵美は中学からの友達で、だからお互い言いたい放題、でもふたりのやりとりを見ていると楽しい。

そうこうしているうちに、男子生徒も数名乗ったバスが出発した。
< 18 / 65 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop