見つめていたい


・・・・・!?

「…ここは…」

私、寝てる…


「気がついたようね、よかった…」


ぼぅっとしながら、声のほうに目をやると、白衣を羽織った綺麗な女性が、にっこり微笑んでカーテンの間から私を見ている。


「…あの…私………」


「軽い貧血を起こしたみたいね、しばらく寝ていれば良くなると思うわ、でも、良かったわね、優しい男子に助けられて、もし倒れたりしていたら、大変なことになっていたかもしれないわ」

まだ、頭の中が整理できないでいた

……!? そうだ!

「入学式!」

私はベッドから飛び起き、上靴を探した。


「行かなくちゃッ」


「まだ寝てなくちゃダメッ!…入学式なら、とっくに終わってるわよ、あなたは、退場の最中に倒れかかったんだから…さっきまで、あなたのお母さんが付き添っていてくれてたの、今はたぶん教室へ…あなたの担任の佐藤先生の所へ行っているはず…」

「…お母さん?…」

「覚えていないのも無理ないわ、ぐっすり眠っていたから」

……

「あなたを運んで来てくれた彼も、心配してたわよ」

「彼?…」

「そうよ、急に倒れそうになったあなたを、講堂からここまで抱きかかえて、連れて来てくれたのよ」

・・・・・


『俺も残るから…』


あの時、言うことを聞いていれば、こんな事には…


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