見つめていたい
…ムニャムニャ…カズマくん…
『くるみーっ!くるみっ起きなさい!6時半だよ!」
「…ん?…なに?…もうおなかいっぱい…!!
?…」
「まだ寝ぼけてる…ほら、起きて!」
「え~…なによ~…!??…何時ッ!」
そうだ、昨日遅くまでカラオケ屋に行って、その後、柚木くんに好きって言ってしまった…眠れなくなってしまったんだっけ…
なんて、回想シーンを思い出している場合ではない!
「なんでもっと早く起こしてくれなったの!?もう!遅刻しちゃう!」
「何言ってるの!何回も起こしたのに…夢の中だったんでしょ!また言ってたわよ、彼の名前」
「えー?…もう、お母さんのいじわるッ!」
相変わらずうるさいんだから、でも…
心配かけてごめんなさい…
「それじゃ、おかあさん!いくね」
「くるみー!気をつけてね、いってらっしゃい!」
「いってきまーす!」
気分爽快とはいかないけど、心の扉を全開にしたおかげで、昨日のくるみとは違うくるみになった気分。
いつもの街並みまで違って見える、それは、この東ヶ丘の町でも同じこと、緑に囲まれた真っ白な東ヶ丘高校が澄んで見える。
1年1組
昨日のこともあって、いつも以上に彼を意識してしまう
「朱音!おはよ」
「あ、胡桃?おはよう!大丈夫だった?あんまり遅いから、休んじゃうのかと思ったよ、良かった!…昨日は楽しかったね!」
「そ、そうだね」
チラ見しながら窓際を見ると、3番目が空席になっていた。
「どうしたの?」
「柚木くんは?」
「それが、風邪で休みみたい、流星くんと恵美が話してた」
「風邪!?」
「だからかなぁ、昨日、胡桃と別れた後、柚木くんさぁ… 『悪い、ちょっとダルいから、俺帰るわ…』 って言って、食事しないで帰っちゃったんだよね…」
「柚木くん… 『少しは、ましかな?…一緒にいるよ…』 ……」
…あの時から?…柚木くん、あなたは、私の為に、ジャケットまで脱いで…あんなに寒かったのに…わたしのせいで…
「胡桃?…ねぇ…胡桃?」
ごめんなさい…
柚木くんが風邪を引いたのは私のせいだ…
「どうしよう!朱音!私のせいで!、柚木くん、私のせいで!…」
「胡桃…」
「くるみちゃん!大丈夫!?」
「胡桃!…朱音!?何があったの?」
泣きじゃくる私の周りに、心配してみんなが集まって来てくれた。
ーーー
昨日の出来事を一部始終、みんなに話した。
「…そっか…そんなことが…たぶん、柚木くんは、胡桃のことを全部知っていたから、自分の判断でしたことだし、胡桃のせいではないと思うよ…でも良く自分の気持ちを伝えたね…あたしはいいと思うよ…だって、好きな人に好きなんて、なかなか言えないから…あたしだったら絶対無理だけれど…それにしても柚木くんて、優しいなぁ」
「うんうん、わたしもそう思うな」
「イケメンで優しくて、男らしくて、ついでに頭もいいし…いいなぁ…うん、誰かさんとは大違いだねー」
「?うん? なあ、今、俺のこと見て言わなかった?」
「べつに…」
「恵美~ぃッ!」
『また始まったぁ…あははは!!』
逃げる恵美を追いかけて行く流星くん…
あのふたり、どう見ても仲がいいんですけど…