見つめていたい
雑誌を読みながら、眠そうに話している紗穂と美沙
「ねぇ、美沙?」
「なぁに?」
「あのさぁ、柚木くんの好きな人って、誰だと思う?」
「みて!このワンピとパンプスかわいいッ!……え、うん…だれかなあ…でも、この学校の人じゃないかもよ」
「それもそうだね…どれ?ほんとだね、可愛い…これも…」
結局、朝のホームルームの後、佐藤先生から柚木くんは風邪で2、3日休むと連絡が入った。
1時限目の授業が始まる。
「それでは授業を始めます…はい、今日は26ページの明治維新について……」
そうだ!?…
ノートがいっぱいになってしまった…
ふぅ…疲れた…
2時限目
「はい!では、昨日の復習から始めます、三角関数を応用して……」
ふぅ…
そのまま三時限、4時限、そして5時限、やっと終わった。
朱音が私の肩をツンツンしてきた。
「ねぇ胡桃?」
「うん?」
「それ…いつからそんなメモ魔になったの?」
朱音は、私の机の上の、ほとんど余白のないノートを指差しながら言った。
「ああ…これ、ふふん…柚木くんに持って行こうと思って…」
「!?…なるほどね、おそれいりました。」
柚木くんがいない時も、あなたのこと、やっぱり考えてしまう。
今、あなたの為に私にできることは、これが精いっぱい
卒業するなんて、決めたけれど…
しばらくは無理かもね
柚木くんと好きな人がゴールする時まで…
卒業証書はおあずけかな…