ヴァンパイアの花嫁
庭に出て空を仰ぐ。


今にも雪が降ってきそうなどんよりとした空模様だった。


きれいな白い小さな塊が空から降ってくるのを見るのが好きになった。


「雪降らないかな……」


呟くように言うと後ろで車イスを押していたアメリアが前に回ってきた。


「雪がお好きですね?」


「はい。雪が積もると夜でも明るいし、美しいから」


そう言っている側からちらほらと雪が舞い降りてきた。


シェリルは手をケープの中から出して雪の冷たさを確認するかのように手のひらに落ちるのを見ている。


「お風邪でも引いたら大変です。中へ戻りましょう」


少ししてアメリアが言う。


「はい」


自分の身体を思いやり、言ってくれているアメリアにわがままは言わなかった。





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