ヴァンパイアの花嫁
『レオン様。シェリル様が大怪我を。大至急お戻りください』
こうもりからアメリアの声が聞こえた。
ダーモッドも聞こえたらしい。
従者の横にいたダーモッドは慌てて馬車の中にいるレオンを振り向いた。
「シェリル!」
己をののしる言葉を吐くと、レオンは従者に急ぐように言った。
屋敷に近づくにつれシェリルの血の匂いが強く漂ってきた。
「クッ……」
シェリルの甘くそそられる血の匂いにレオンは歯を食いしばる。