ヴァンパイアの花嫁
しばらくイスに座り、少女の様子を見ていた。


そしてようやく少女が顔を上げた頃、外は空が白み始めていた。


レオンはベッドに近づくと、顔を傾けて聞いた。


「落ち着いた?」


静かな口調に、少女はやっと耳を傾けた。


コクッと、頷く少女。


「私の名はレオン。君は名前がわからないと言ったね?」


「あたしは……」


少し考える表情を見せたが、わからないようで細い弧を描いた眉根が寄っていく。




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