ヴァンパイアの花嫁
馬車が動き出すとティナは窓の外を見始めた。


「あたしのいた場所はとっても暖かい所でした。だから、雪は見たことがなかったんです」


今にも凍りつきそうな窓の外を見ながら言う。


「そうか、ここは寒いか?」


レオンは指を伸ばして淡いブロンドの髪を梳く。


その感触に窓の外を見ていたティナは振り向いた。


「いいえ、レオがいるから寒くないです」


にっこり微笑んで否定する。


それに足は寒さを感じない。


思い出したようにティナの視線が前の窓から見えるダーモッドの姿を追った。



< 292 / 487 >

この作品をシェア

pagetop