ヴァンパイアの花嫁
最近レオンは屋敷を不在にすることが多くなった。


父のガナンシアの容態が芳(かんば)しくないのだ。


城へ行けば仕事は山積だ。


仕事を屋敷に持ち帰ることもしばしばで、レオンは執務室に縛られている。


3人が庭へ出ている間にエミリオが執務室に姿を見せた。


「何の用だ?」


書類から顔を上げずに書斎へ入ってきたエミリオに言う。


「用は無いんだけどね」


「私とティナのことは干渉しないでくれないか?」


時折、ティナはぼんやりしている。


そんな時はヴァンパイアになるべきか頭を悩ませているのだ。


ティナの苦しむ姿は見たくない。


この件はゆっくりと時間をかけたい。


まだ時間はたっぷりあるだろう。





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