ヴァンパイアの花嫁

シェリル

自分はシェリル……。


目の前に座っている眉目秀麗な青年レオンにつけてもらった名前。


記憶はないが、その名前に慣れそうにもなかった。


「シェリル。庭に出てみるか?」


すでに夜になっていたが満月がきれいな夜だ。


冬空の澄んだ空気だからこそ、今日の満月は美しい。


レオンが言うとぼんやりしていた空色の瞳が彼を見た。


「行きたいです……」


初めて自分の意思を言った。


外に行くには抱いてもらわないと、どうすることも出来ない。


レオンはやっと自分の意思を言った少女に微笑んだ。


そして毛皮のコートに少女を包むと、抱き上げた。



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