ヴァンパイアの花嫁
数刻後、レオンとアメリアが戻って来た。


ティナは車イスを動かしてレオンに近づいた。


「お帰りなさい」


「長い間ひとりにしてしまってすまなかったね。身体は大丈夫かい?」


ティナの顔色はいつもより青ざめている。


「レオン……あの鐘の――」


鐘の音を聞こうと口を開いた時、レオンの長い指が頬に触れた。


「これはどうした?」


カサンドラの爪に傷つけられた跡のことだ。


「あ……爪で傷つけちゃったの」


正直にカサンドラと会ったといえば良いのに言えなかった。


「血は止まっているから大丈夫だね?」


「はい。あの……今日の鐘の音は?」


ティナは空色の瞳を曇らせていた。



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