ヴァンパイアの花嫁
「そのうち思い出すだろう」


レオンの目と合い、シェリルの目が大きく見開く。


レオンのいつもの金色の瞳が、月明かりで赤いように見えた。


目の錯覚かなと、シェリルは瞬きを数回繰り返した。


やはり見間違いだったらしい。


瞬いた後に見ると、彼の瞳は空で輝いている月と同じ美しい金色だった。


「くしゅん……」


シェリルはぶるぶるっと震え、レオンの腕の中でくしゃみをした。


病気になどならないレオンでも長年生きていればくしゃみが風邪を引きそうな前兆だとわかる。


「部屋へ戻ろう」


シェリルを包んでいた毛皮を頬の上までくるように整えると、屋敷へと引き返した。








< 47 / 487 >

この作品をシェア

pagetop