ヴァンパイアの花嫁
ホットミルクは甘くておいしかった。


身体の芯まで温まった気がした。


あたしは何もしないまま……ここにいるのだろうか……。


違う……何もしないままじゃなくて……何も出来ないんだ。


動くことが出来ないんだから、どうすることも出来ない。


ここに居させて貰えるだけで感謝をしなくちゃ……。


なにか自分でもできることはないか考えよう。


広いお屋敷なのに人の気配が少ないことに気づいた。


シェリルはまだ使用人らしき人はふたりしか見ていなかった。


他にもいるはず。こんなに広いお屋敷なのだから。


あたしが見ていないだけなのかもしれない。



ホットミルクを飲み終わると、あくびが出た。


眠気に逆らい、シェリルはベッドの持ち主を待っていた。


ここはレオン様のベッド。いつまでもここで寝てはいけない。


頭がぼんやりし、やがて雲がかかったように何も考えられなくなり、コトッと身体がベッドに沈んだ。


シェリルはあっという間に眠りに落ちたのだ。







< 50 / 487 >

この作品をシェア

pagetop