ヴァンパイアの花嫁
『アメリア、ダーモッドを地下室へ閉じ込めておけ』
レオンはアメリアに念を送ると、シェリルを抱き上げベッドの上に座らせた。
座らせたシェリルの美しい空色の瞳は涙で濡れていた。
痛みよりも足が本当に役に立たなかったことを思い知らされ、ショックを受けた。
「何か言ってくれ、他に痛むところは?」
シェリルの受けたショックがレオンにはわからなかった。
シェリルは小さく首を横に振る。
「どこかへ行きたかったのか?」
「歩けるような気がしたの……」
「無理だとわかっただろう」
レオンは自分の言い方が冷たいのはわかっている。
わかっているがダメなものはダメなのだ。
これからもシェリルに生気を送ったとしても歩けはしないだろう。
シェリルは手を額にもっていき、腫れた箇所にそっと触れる。
痛い……。
しかし、レオンの言葉もシェリルには痛かった。