ヴァンパイアの花嫁

ベッドにいつもいるのは退屈だろうと、今日は広い庭が眺められる大きな窓の側にイスを置き座らせてくれた。


そしてシェリルが読めそうな本がテーブルの上に山積にされている。


ぼんやり考え事をしていたシェリルだが、山積の中から一冊手にした。


パラパラとめくっても興味は沸かない。


再び外に目を移した時、レオンが女性と歩いているのが見えた。


「レオン様……」


並んで歩く姿を見た瞬間、シェリルの胸がズキッと痛んだ。


遠めだが黄金色の髪をきれいに結い上げた女性。


真っ赤なドレスを手袋をした手で優雅に持ち上げ、レオンを見上げて微笑んでいる。


いつもレオン様はこのベッドで眠るから伴侶はいないと思っていた。


あのきれいな女性は恋人？それとも奥方様？


歩けるあの美しい女性がうらやましかった。