Hey girls!調子はいかが?
「あなたもだね…。」
お医者さんが聞こえるか聞こえないかぐらいの声量で呟きを漏らした。
がっつり聞こえてしまったけど…。私、かなりの地獄耳だと自他ともに認めてるんだから。
きっと、瞳のことを言ってるんだろうな。
「も」っで言ったもん。
「水谷さん、熱、あるよね?」
「…多分。はかってないですけど。」
馬鹿正直に答えてしまう。いいえって言いたいけど言えない。きっと主治医のせいだな。あの人、怒ると怖いもん。しかもいちいち正しいから反論できないし。
「持病はある?」
「喘息持ってます。」
「そうだよね、かなりひどく喘鳴が聞こえるよ。静かにしてたら聴診器無くても聞こえてくると思うけど。
今苦しいでしょ?」
「…まあちょっとだけ。」
本当はちょっとってレベルじゃないと思うけどなんとなくはぐらかしてしまう。私の悪い癖ではある。でも嘘は言ってない。
さっきも言ったけど、嘘つくとうちの主治医が怖いから。
「病院にはきちんと行ってるの?」
「…一応行ってますよ、検診とかで。」
「そう…。
今も喘息が出てるからできるだけすぐかかりつけの病院に行ってください。」
「はい…。」
多分行かないけどね。だって病院嫌いだもん。それにこの前検診に行ったばっかりだし。
今行ったらほぼ間違いなく入院だと思う。入学早々入院するとか、復帰してからクラスで浮いちゃうじゃん。晴のこと1人にするのも不安だし。
だけど余計なこと言うと面倒なことになるのは目に見えているから、素直に返事をしておく。
「それじゃあ、次の検査に行ってください。おだいじにね。」
「ありがとうございました。」
お礼を口から絞り出して、ついたてから出る。
なんとか終わった。結構疲れた。思ってたより緊張してたけどまだ検査は残っている。気は抜けない。
平静を保ちながら、残りの検査を乗り切るしかない。
私は重い足取りで廊下を進み、階段を登っていった。